再度図式に戻る。
@過剰生産→A企業の経営悪化→B労働者の解雇・賃下げ・非正規への配置換え→C労働者=消費者→D消費の落ち込み→E企業経営の悪化……という悪循環が起こった。
要するに、Eをコスト削減だけで乗り切ろうとしている。当然、商品の値段が下落すれば物は売れるように思えるが、では誰が買うのか。消費者=労働者である。労働力商品が下落すれば、相対的に過剰生産となる。このジレンマが日本経済が陥っている問題点である。このまま放置すれば、過剰生産のはけ口として、第三の政策(ヒトラーの政策)であった他国を侵略し、そこで過剰生産物を売却するという誘惑に駆られるであろう。
どうすべきかの提言は今回は省く。
要するに、日本経済の本質は、私が予備校などで一九九五年頃から指摘し続けてきたスタグフレーションの奇形にあった。それをデフレと称してインフレ政策を続ければ、年金生活者の窮乏、貧富の差の拡大のみならず、相対的過剰生産(過剰生産とは需要に対しての過剰である限り、供給だけではなく需要が冷え込んでも起こる)は侵略でもしない限り解決しないとなる。他方、非正規の増大などで、「創意・工夫する労働者」とは逆の形になりつつある。必死で仕事と言っても、それはチャップリンのモダンタイムズの世界でしかない。ここでは提言はせず、日本経済の状況解説だけをした。
アメリカ経済の状況は今回省くが、私の如き単細胞人間(Simple-minded-person)は「裸の王様」と簡単に言ってしまう。もし、アメリカが世界に垂れ流したドルが、全てアメリカに逆流したならばどうなるか。これ一つで解答はでている。サイバー攻撃でもなく、9・11事件(テロ恐怖)でもなく、世界中のドルがアメリカに環流するとアメリカ経済は沈没をすることは子供ならば(単純に物を考えれば)分かることである。
そんなことは起こりえない。では、なぜ、ブレトンウッズ体制は崩壊したのか。固定相場制は、金1オンス=35ドルで成り立っていた。だが、ドル不信が起こったとき、ゴールドラッシュが起こり、アメリカにドルが逆流しかけたときがあった。それがパクス・オブ・アメリカーナの経済面での破綻であった。1968〜73年頃のアメリカを見るがよい。あのとき、ドルが逆流(金とドルとの交換要求)が少し起こっただけで、アメリカ経済がどうなったかである。もし、あのとき以上の、それどころか世界中のドルがアメリカに逆流したならば……。ありえない?では1968〜73年頃を思い出すがよい。当時と、経済状況は似てきつつある。
変動相場制だから大丈夫?ヘッジファンドが絡み、実体経済を表していない相場に支配されている限り、資本家・経営者はその場しのぎの舵取りを迫られている。今や、多国籍企業というよりも、相場に左右され、放浪する資本家・企業となっている。
アメリカ経済もいずれ分析することもあろうが、日本経済は先の(A)創意・工夫する労働者と(B)過剰生産という二つのジレンマから逃れられずにいる。中国・ロシアなども同様な問題に直面するか、いずれ直面するであろう。
結論から言えば、今日の世界経済の課題は、(A)創意・工夫する労働者創設と(B)過剰生産からの脱却にある。この二つを世界的規模で解決するための新国際経済秩序が望まれている。本質問題から目をそらして、安易な道を考えると戦前への道となるであろう。即ち、ブロック経済化と植民地主義である。
歴史は、これらにノーと判定を下したはずである。ブロック経済の枠組みに陥らぬようにするため、(問題があっても)GATT-IMF-IBRD体制が構築されたはずである。同時に、植民地主義への反省から国連が誕生したはずである。しかも、国際連盟がまだ存続しているときに、併行して国際連合が創設されたはずである。
私が、新国際経済秩序と新国際政治秩序の構築を急がなければならないと主張している理由の一つが本日記載した内容からも分かるであろう。
グローバル化した経済の中で、世界は今、(A)創意・工夫し、必死で働く労働者の創設と(B)過剰生産からの脱却という、二つのジレンマに直面している。そして、その解決策は未だに誕生していない。同様の状況の中で国連が誕生したのである(ちなみに、今日ほど国連の権威が地に落ちた時代もないように思われる)。
私が、新国際経済秩序、新国際政治秩序、あるいは世界連邦への道を唱道している理由が他にも幾つもあるが、それらは暇時に追々と語ることとする。
このブログは私的ブログで名目上非公開のブログのため、構想・下書き抜き、資料調査抜きで一気に記したものである。後日、精査し、公式ブログへ、更に精査し公式HPか来年立ち上げる浜田隆政アカデミーHP、更に精査し作品化を図ることになる。
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